あかるい肝炎生活

飲み薬でC型肝炎が治療できる日を待つおぢさんの日記

*

Sofosbuvir(ソフスブビア)とLedipasvir(レディパスビル)の治験結果の紹介 ~第64回米国肝臓学会議 (AASLD 2013)より

      2013/11/28


AASLD / butter1225

やっと書く時間が取れたので、気になる薬の治験結果の紹介をいたします。

一番早い経口薬は、ブリストルマイヤー株式会社(BMS)の先日承認申請(C型慢性肝炎に対する経口薬のみによる治療薬を世界に先駆けて日本にて承認申請 ブリストル・マイヤーズ株式会社 | あかるい肝炎生活)が行われたものです。これが早ければ来年夏ぐらいから限定的に(すべての患者さん向けに使われるのではありません)使われるようになると思います。

いま、国内でフェーズ3が行われているのが、米Gilead Sciences社(ギリヤド・サイエンス社)の物です。(米Gilead Sciences社の抗HCV薬、国内治験を開始へ:日経メディカル オンライン)。

また、年明けぐらいから、アボット社のものがフェース3で治験が行われると思います。アボット、C型肝炎治療においてインターフェロンを使用しない多剤併用療法の第II 相臨床試験で良好な結果を発表|プレスリリース | 報道関係者の皆様 | アボット ジャパン

この辺の新薬取り纏めについては、別途次の機会にでも。
 
 

Sofosbuvir(GS-7977、ソフスブビア)とLedipasvir(GS-5885、レディパスビル)の治験結果

今日は、国内フェーズ3が開始されたギリヤド・サイエンス社のSofosbuvir(GS-7977、ソフスブビア)とLedipasvir(GS-5885、レディパスビル)の治験結果を紹介します。

このスライドの出典は以下のところになります。
Sofosbuvir and Ledipasvir Fixed-Dose Combination with and without Ribavirin in Treatment-Naive and Previously Treated Patients with Genotype 1 Hepatitis C: The LONESTAR Study


英語なので日本語でちょっと解説しますね。

スライド1
治験結果
・97/100のSVR(97%)
・肝硬変でない初回治療
-58/60(97%) SVR12
・前回治療者(無効例等)
 -39/40(98%) SVR12
-その内肝硬変の患者 21/22(95%)
治療期間は8週、12週と24週。SOF/LDVとリバビリンの有無で治験が行われた。


データは8週と12週のようですね。それにしても、飲み薬だけで前回無効例を含んで97%の患者さんが治るなんて夢のような薬だと思います。

スライド2
Sofosbuvirはジェノタイプ1~6を対象として、飲み薬で600mg/日。NA5A阻害剤
Ledipasvirはジェノタイプ1a、1bを対象として、飲み薬90mg/日。ヌクレオチド・ポリメラーゼ阻害剤(NS5B阻害剤)
Sofosbuvir/Ledipasvirは1錠のタブレットで食事の影響を受けない。
現在まで2000名を超える患者さんで治験が行われている。


二つのお薬で2錠だと私は思っていましがた、どうやら薬の量が確定しているため、今回の治験では、1錠にまとめたタブレットタイプになっているようです。

スライド3
インターフェロンフリー(無し)の治療が待たれている。
現在の治療で効果(無効例、プロテアーゼ阻害剤+ぺグリバ)がない患者がいる。


アルコールフリー(アルコール0%)のビールみたいな云い方をするんですね。わかりにくいと思うんだけど、英語の表現だから仕方がないか。

スライド4
ジェノタイプ1型だけの治験、BMIや年齢の制限なし。血小板5以上の患者。
コホート1
 -SOF/LDV 8週間
 -SOF/LDV/RBV 8週間
 -SOF/LDV 12週間
コホート2
 -SOF/LDV 12週間
 -SOF/LDV/RBV 12週間


良く治験ではコホートといい方をします、簡単いうと対象集団略すことができます。(参考:コホート研究 – Wikipedia

スライド5
観察期間は治療後12週間で、評価はSVR12。
C型肝炎ウイルス量の測定方法はタックマン法。

スライド6
患者構成(N=100人)
平均年齢 50歳(21-73歳)
男性 66人
黒色人種 9人
ヒスパニック 40人
平均BMI 29.9(18-48)
IL28B CC(治りやすい) 15人
ジェノタイプ1a 87名
平均ウイルス量 6.1(3.7-7.2)


ここでちょっと気になるのは、ジェノタイプ1型ですが、1aが87%で1bが13%しかいないと云うことです。
日本やアジアの場合は圧倒的にジェノタイプ1b型が多くないりますので、日本で行われるフェーズ3の治験ではジェノタイプ1bが中心となってデータを集めると思います。

スライド7
前回治療無効例の構成
ボセプレビル 22/40(55%)
テラプレビル 18/40(45%)
肝硬変 22/40(55%)
– 平均血小板 10.7万
– 平均アルブミン 3.8


ここでいう肝硬変の定義は少し、日本とは異なるようです。欧米の場合、通常慢性肝炎後期の方も肝硬変とい表現になりますので、日本で肝硬変と言われているF4の人たちとはニュアンスが少し違うということになります。
血小板10.7万、アルブミン3.8っていったら割と状態のいい方じゃないかと思います。

スライド8
治験終了者は99/100名。1名は同意取り消し。
SVR12の結果。


この1名同意を取り消した人はどんな方なんですかと、主治医に聞いたところ、実は途中で刑務所にいってしまってデータ取れなかったんだと聞いたよとの回答でした。日本だと想定できないですよね。

初回治療例(Treatment Naive)が8週治療20名、8週リバビリン有21名、12週治療19名。前回無効例(PI fallures)が19名、リバビリン有が21名。前回無効例の中で50%が肝硬変(Chrrhosis)の患者さん(2013/11/28追記)

スライド9
前回治療にプロテアーゼ阻害剤で治療に失敗した患者(肝硬変、慢性肝炎)の場合


やはりここで明確な差があって、肝硬変まで至っていない患者さんの方が治癒率が高くなります。それでも肝硬変の場合でもリバビリンを加えて治療を行うと治癒率が100%となっていますので、肝硬変の患者さんを治療する場合は、リバビリンを追加して治療した方がいいという結果がでています。よく言われるC型肝炎ではなるべく早く見つけて、なるべく早く治療するというのはこの薬の場合も当てはまると思います。(2013/11/28追記)

スライド10
SVR12とSVR24の比較。


この結果から、この薬の場合観察期間は12週となったようです。いままでの通例からいうとSVR24、治療終了後6カ月ウイルスが検知されなければ治ったと判断していたものが、ここでは12週間、3ヶ月に短縮されています。これから発表になる新しいお薬はたぶんSVR12で評価するようになると思います。

この値、凄いですよね。
リバビリン(RBV)有の方は100%治っています。それも前回治療に失敗した方でもですよ。飲み薬だけでここまでの治療効果ってのはいままでなかったと思います。

スライド11
SVR24に成なかった患者。


すべてリバビリン無しの場合です。その内1名は、後のスライドにあるようにリバビリンを追加した追加治療で治っています。前回治療無効例の患者さんは、かなり進んだ肝硬変の患者さんだったようです。もう1名は前述した通り、刑務所にいってフォローアップでできていない患者さんの計3名です。

スライド12
耐性分析
NS5A耐性 9/100(9%)
NS3/4a耐性 28/40(70%)※
※前プロテアーゼ阻害剤のコホート2の患者を含む
– 7/9 NS5A耐性(L31M,Q30H/R/L,93H/C)を持つ患者がSVR
– NS3/4a耐性(R155K,V36L/M,V55A,T54S)を持つ28名すべての患者がSVR
– SOF/LDV治験8週間後に再燃した1名の患者でS282T(NS5B耐性)

スライド13
8週間治験後再燃した患者で再治療成功(SOF/LDV+RBV 24週間)

当初 NS5A耐性:L31M 25.5%、NS5B耐性無し
8週間治療後再燃時 NS5A耐性:Q30L(4.5%),L31M(>99%),Y93H(91.24%)、NS5B耐性:S282T(91.24%)
再治療開始時、NS5A耐性:Q30L(3.47%),L31M(94.38%),Y93H(91.19%)、NS5B耐性:S282T(8.00%)


このSofosbuvir(ソフスブビア)とLedipasvir(レディパスビル)の特徴は、片方がもう片方に耐性を防ぐように作用するところだそうです。それでいままでのお薬に比べると耐性が出にくいと云われています。一度耐性ウイルスが発生しているにも関わらず、リバビリンを追加して再治療をおこなうと綺麗にウイルスが消えています。それの2週間で消えるなんて、もの凄い効果ですよね。
お話を聞いた主治医も、ほんとリバビリンは単剤ではほとんど意味をなさないけど、ことC型肝炎のお薬と組み合わせると魔法の粉みたいに、効果が倍増する変なお薬だといっていました。ほんと、それを如実に現したデータだと思われます。
LLOQ-TD=1.4logIU/mlで日本で使う1.2logとは少し違いますが、ニュアンス的には同じととらえていいと思います。LLOQ-TND=検出セズというものですね)

この患者さん初めからNS5A耐性を持っていて、ウイルスが消えるが遅かったですね。通常4週間で消えるぐらいが目安になるようです。

一般的に阻害剤の治療では効果がある場合、1週間で5logぐらいウイルス量が減少します。ウイルス量が初めから少ない人は1週間で感度以下になる場合もあるそうです。初めはガツンと下がって、それからこの図にあるようにじわりじわり下がる。それにしても後半の再治療の場合2週間の治療でウイルスが消えていますから、いままでのお薬とは比べものにならないぐらい強力なお薬といえると思います。

スライド14
有害事象(副作用、AE:Adverse Event)
臨床検査値の異常値(Labotatory abnormality)

若干この表からもわかるようにリバビリン有の方が有害事象(副作用)が多いようです。臨床検査での異常値で見るとやはりリバビリンを加えた場合、治療効果が上がりますが、貧血になるのは避けられないようです。ここが痛いところ、リバビリンに副作用をお持ちの方はちょっと注意ですね。

スライド15
5%以上の患者で発生した有害事例
吐き気・ムカつき(Nusea)、貧血(Anemia)、咳き込み(Upper respiratory tract infection)頭痛(Headache)などが多くでた有害事例(副作用)のようです。

やはり飲み薬、インターフェロンのような発熱、倦怠感などのインターフェロン特有のインフルエンザ症状のような副作用はありませんし、後発の飲み薬だけあって、いまのテラビックのような皮膚炎に関する有害事象もありません。

 
 

まとめ

ちょっと重要な部分とトピックをまとめておきます。

  • 治療期間は12週間、治療終了後の観察期間も12週
  • N=100人でSVRは97%
  • 前回治療者(無効例等)98%のSVR(39/40人)
  • 副作用の問題があるが、リバビリンを加えた方が治療成績が良い
  • 肝硬変の患者は治りにくい。年齢、性別、IL28B等の条件には左右されない
  • 副作用は、頭痛、咳き込み、吐き気・ムカつき貧血など。テラビックのような皮膚炎の症状はない。リバビリンを追加すると副作用が出やすくなる
  • 耐性ウイルスが発生しても、そのあとに追加治療を行うことにより治る場合がある
     

    ざっくり、ちょっと興味がある米国の肝臓学会の発表資料をちょっとだけひも解いてみました。まあ、医療関係者じゃないので、間違いがあるかもしれませんが、興味のある方は英語のものを持って行って主治医にでも聞いてみてください。

    今日現在、ギリヤド・サイエンス社(GS)は日本で同様のフェーズ3の治験を行っていいるようです。検索するといろいろ出てきますので自分で検索してみてください。
    どうやら全国でN=350人、10施設の病院で治験が行われているようです。

     
    来年認可になるブリストルマイヤー社(BMS)社のものより、この報告を聞くと、特に前回無効例だった患者さんへの治療効果が高いようなので、治療をお待ちの方は、この辺も考慮して治療の時期を決めたらいいと思います。

     
     
     

    私なりの今後の治療方針の考え方

    かなり私見を含みます。話半分で聞いてください。ちゃんと主治医に相談してご自分の治療方針を決めてくださいね。
    基本はいま治る見込みのある人は、いまの最新のお薬ですぐに直す。これが基本中の基本。

    特に来年の当初から治療が始まるソブリアードでは9割以上の方が、この治療で治るみこみがあります。

    テラビックで治療効果がなかった方(無効例2log以上ウイルス量が減らなかった方)は、ソブリアードでは治療効果が薄いと思われますので、次の飲み薬を待つ。(←途中で貧血やテラビックの副作用によってリタイヤした方を除く、また貧血などでリタイヤ方も除く)

    一度肝がんが発生すると、再発を繰り返すようになるので、いち早く治療を行い、肝炎ウイルスを退治するのがいいと私は思います。

    現在の最新の治療で治る見込みの少ない方は、治療時期を見極め、今のご自分の肝臓のコンディションと肝がん発生のリスクを考慮しながら、肝臓の専門医である主治医とよく相談しながら、治療時期を決めるのがいいと思います。
     
     
     

    ひとまず。
    耐性ウイルスの話は次回にでも。

    めっさ疲れた。久しぶりに英語読んだから頭が飽和して・・・

    さっ、食後のオヤツに甘いのの甘いのも(笑

    日本人だもの(笑
    日本人だもの(笑 Photo by cxq02002

 - C型肝炎, 新薬情報 , , , , , , , ,

Comment

  1. トマトっと より:

    ばんばんさん、いつもありがとうございます。
    難しいところを、私達素人にもわかるように、噛み砕いてまとめて下さり感謝します。
    大変なレポ、ゆっくり休んで下さい。(*^^*)

    • ばんばん より:

      トマトっとさん

      おはようさんです。
      まだ難しいかなぁ。もう少し簡単にこんな発表資料が読めるようになるといいのですけど。

  2. Kawanishi より:

    すごすぎるー。良くここまでまとめましたね。いい治療がたくさん出てきそうで期待しまくりですー。

    • ばんばん より:

      kawanishi先生
      ありがとうございます。
      てか、日本語に訳しただけだし。それにしても効果がすごいですね。副作用もそれほど重篤ではないし、日本のジェノタイプ1b向けのP3治験がうまく行くといいのですけど。

      早く、こんな薬が患者さんみなさんで使えるようになるといいなと思います。

  3. さとちゃん より:

    ばんばんさん、ありがとう~\(^o^)/
    うーん、凄すぎる~(^^)v
    今までの薬は何だったの~(((^^;)
    過去があって、未来ありですね♪(*^^*)

    甘いもん、たくーさん食べてね\(^o^)/
    お疲れ様~♪

    • ばんばん より:

      さとちゃん

      ほんと凄い。このお薬考えた人偉いですよ。
      こんなの見ちゃうと治療を待ってします人もいると思いますが、
      タイミングが非常に大切。

      治る時に、最新のお薬で治すことが肝要だと思います。
      そのためにも、いろいと選択しを考えて、肝臓の専門家である主治医と相談して治療を決めることが大切だと思います。

      今日も甘いもの食べまする食べまする~

  4. はるうらら より:

    ばんばんさん 感動してしまいました、凄い治療薬の誕生と、
    ここまで翻訳して分かりやすく纏めて下さったばんばんさんに。有り難うございました。

    今までの治療薬で無事に著効出来た自分に、ほんのちょっと
    罪悪感を感じたこともありましたが、近い将来難治の方々にも
    100%近い治療結果をもたらす薬が出て来ることに
    言いしれぬ安堵感を持ったことでした。

    日本での治験も無事に終わり、1日でも早く治療が行える日が迎えられるよう、
    私も祈っています。

    • ばんばん より:

      はるうららさん

      私の周りにも治験で治った方がいますけど、治験薬で治った方はそれでいいんですよ。
      それが、後から治療を行う人方のいいデータになって、治療に反映されていますよ。
      それが行われなかったら今の治療はないですからね。

      今回紹介したものは、飲み薬の中でもトップクラスの成績じゃないかと思います。
      日本のフェーズ3の治験がほんと上手くいくといいですよね。

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