あかるい肝炎生活

飲み薬でC型肝炎が治療できる日を待つおぢさんの日記

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abbvie社 C型肝炎治療経口薬ABT-450/rの最新治験データの紹介

      2014/06/09

DSC00155

 ちょっとabbvie社(ABBV社(旧ABT社)) C型肝炎治療経口薬ABT-450/rの最新治験データの情報が公開(April 12, 2014)されていたので紹介します。これも英語なんだな。難しい部分は省いて簡単にね。

ソースは以下のサイトになります。
ご興味のある方は翻訳サイトにいれて日本語にして読んでみてください。

ABT-450/r–Ombitasvir and Dasabuvir with Ribavirin for Hepatitis C with Cirrhosis — NEJM

すごい治癒率!!

 
 

治験まとめ

 いきなり一番興味のあるだろう治癒率の数値のまとめからいきます。まずはこの図を見てください。
キャプチャ
出典:ABT-450/r–Ombitasvir and Dasabuvir with Ribavirin for Hepatitis C with Cirrhosis — NEJM |Figure 1. Sustained Virologic Response at Post-Treatment Week 12 in Each Treatment Group, Overall and According to Subgroups.

  • 全体の治癒率 91.8%(12W)/95.9%(24W)
  • ジェノタイプ1aの治癒率 88.6%(12W)/94.2%(24W)
  • ジェノタイプ1bの治癒率 98.5%(12W)/100%(24W)
  • 初回治療の治癒率 92.2%(12W)/94.6%(24W)
  • 前回再燃例の治癒率 96.6%(12W)/100(24W)
  • 前回パーシャルレスポンスの治癒率 94.4%(12W)/100%(24W)
  • 前回完全無効例の治癒率 86.7%(12W)/95.2%(24W)

 それにしても、24W(24週間)の治癒率は目を見張る物があります。ただ薬を飲むだけで100%治るなんてびっくりしますよね。お薬の値段との兼ね合いがありますので、実際には12W(12週間治療)に落ち着くと思いますが・・・

 全体の数値にはジェノタイプ1aの数字が入っているので下がって見えますが、日本人に多いジェノタイプ1bの治癒率に注目すると12Wで98.5%とほとんど治る数値のといってもいいと思います。
 治験では危険(副作用、合併症等)を避けるためと厳密に条件を合わせるため、参加する患者さんのスクリーング(取捨選択)を行ないます。このため実際に治療が始まった時より条件がよくなるため、数値的には良くなる傾向があります。

 ここでいう前回治療例(再燃、パーシャル、無効)は3剤治療ではなく2剤のペグイントロン+リバビリンによる治療のことです。

 前回パーシャルレスポンス(治療時に2log以上ウイルス量が下がらなかった)が若干低くなりますが、それでも12Wで94.4%とかなりいい成績です。この数字の中にはジェノタイプ2bの患者さんもはいっているため、ジェノタイプ1bだけで見たときはもう少し数値的に上なると思われます。

 気になるのは、前回全然ウイルス量が下がらなかった無効例の方は12Wで86.7%と9割を割ってきます。しかし24Wまで治療期間をのばせば95.2%となりますので、前回治療の結果によって、治療期間が変わる可能性もあると想定できますね。
 
 

ジェノタイプ1bの治癒率

日本のジェノタイプの分布は以下の通りです。

  • 1b型:約70%
  • 2a型:20%
  • 2b型:10%程度
  • 1a型:ほとんどなし
  •  

    となっており、日本ではジェノタイプ1aの数字をみてもあまり参考にならないことから、一番多いジェノタイプ1bに絞って数字を追いかけてみます。

    出典元にサイトは表形式なのでちょっと、グラフ化してみます。

    クリップボード01
    出典:ABT-450/r–Ombitasvir and Dasabuvir with Ribavirin for Hepatitis C with Cirrhosis — NEJM|Table 2. Sustained Virologic Response at Post-Treatment Week 12 in Each Treatment Group, According to HCV Subgenotype and Status with Respect to Prior Treatment.からグラフ化

     開けてびっくりの数字のオンパレードですね。一部を除いて100%の数字が並びます。ちょっとNの数字(母集団)が小さいのでいちがいには云えませんが、ジェノタイプ1bの方の場合ほぼ治るといっても過言ではないと思います。
    (実際の治療では肝臓のコンディションが様々な方が治療を行なうため、ここまでの数字はでませんよね)

    でもちょっと気になる条件が以下のものです。

    In phase 3 studies involving patients who had chronic HCV genotype 1 infection without cirrhosis, 12 weeks of treatment with the all-oral, interferon-free combination of ABT-450/r–ombitasvir and dasabuvir, administered with ribavirin, resulted in a rate of sustained virologic response of 96% among both previously untreated patients and patients in whom prior peginterferon–ribavirin treatment had failed.
    出典:ABT-450/r–Ombitasvir and Dasabuvir with Ribavirin for Hepatitis C with Cirrhosis — NEJM

    の太字にした部分。

    ”今回のフェーズ3の治験は1型の患者さんで肝硬変になっていない患者さんで行ないました”

    って部分です。今までの経口薬の発表で、肝臓の繊維化が進むと薬の効きが悪くなるという記述のいくつかの発表で目にしました。今回のabbvie社の発表って、良い数字のでる部分を発表しているものと想定できます。まだ肝硬変の方を対象にした治験が進んでいないという事実もありますが、この部分は頭に入れておいた方がいいと思います。
     
     

    治験で使われた薬について

    BMS社はGS社の経口薬で日本で治験が行なわれた物は2つの薬をのむものです。このABBV社のものは4剤です。

  • ABT-450/r(NS3A、rはリナトビル:薬物代謝阻害剤)
  • オムビタスビル(ABT-267)(OMB:ombitasvir、NS5B)
  • ダサブビル(ABT-333)(DAS:dasabuvir、NS5A)
  • リバビリン

 
リトナビルは、既に発売されているお薬でノービアとう名前になります。ABT-450と併せて飲むことにより、ABT-450の効果を高める働きがあるお薬です。

 リバビリンは魔法のお薬で、インターフェロンと組み合わせて使うと効果が高まったり、難治例に対して効果がありますが、貧血や頭痛などの副作用の発生原因となるため注意が必要ですね。リバビリンの有無でそれほど効果の差がないという治験の報告も目にしたことがあり、現在虎の門病院を中心に行なわれているabbvie社の治験ではそれを含めて治験が行なわれていると思います。患者の負担を考えると出来るならリバビリンがない方がいいなあと思ったりします。
 
 

副作用について

 気になる副作用ですが、いままであまり話題になりませんでしたが、12週間の治験で1名死者がでています。
(読み解いても、原因が書いてないのがもっと気になりますが・・・)

grade 3 or 4 laboratory abnormalities observed during the treatment period were elevations in total bilirubin levels (in 37 of 380 patients [9.7%])

 またグレード3、4の副作用の酷いもので観測されたものが、ビリルビンの上昇にないます。10%近く患者さんで観測されいますので注意が必要です。また黄疸を観測した患者さんもいるようです。一般的にお薬は肝臓で分解されますが、多くの第二世代のC型肝炎治療の経口薬は腎臓で分解されるため、腎臓に負担がかかりビリルビンが上昇する場合があります。
 グレード3で3名、グレード4で1名の患者さんがいます。母数が330人ですからざっくり1%の確率となります。これが多いのか少ないのは微妙なところがありますが・・・
 グレード1等一番多いのが、疲れ・倦怠感(fatigue)、頭痛(headache)、むかつき(Nausea)、痒み(pruritus)等リバビリン服用時にでるものがほとんどです。インターフェロンのような、きつい発熱、筋肉痛などは皆無で、やはり飲み薬による治療だと思います。
 副作用もお薬の量も欧米人を対象にしていますので、日本に持ってきたときにどのぐらいになるか分りません。よく聞くのがリバビリンの量って日本人にすると多いよねなんて聞くことがあります。虎の門病院などの治療結果では、ペグイントロン+リバビリンの2剤による治療で、半分/日まで減らしても治癒率には変わりはないというデータもあるようです。
実際に治療が始まる頃には、日本仕様なり、医者のさじかげんなりで、患者さんに会わせた量になると思われます。
 
 

耐性株の問題について

特に経口剤で問題となるウイルスのもつ薬剤耐性の問題ですが、今回は17名の患者さんで以下のような耐性がみられています。

  • 2名がNS5AあるいはNS5Bを持った患者
  • 残り15名は複合耐性
    ・D168V(NS3)およびQ30R(NS5A)を持った患者
    ・Y93H(NS5A)およびC316Yを持った患者
    ・Y93H(NS5A)およびM414I(NS5B)を持った患者

C型肝炎ウイルスに耐性株がある場合は、治り難くなる要素もあるようです。
この間、主治医に聞いたところ、耐性の問題は難しく、いまの遺伝子の耐性を調べる機器では定量では調べることができずに定性となるため判断は難しく、治癒した人にも耐性株を持っている場合があり、いちがいに耐性があれば治らないとは言い切れないとおっしゃってました。
 日本人の2割は薬剤耐性をもつC型肝炎ウイルスを持つなんて聞いたことがあるので、薬剤耐性の部分は今年認可になるBMS社の経口剤でも調査の対象となる可能性もあるため、今後の治験結果等を追いかけていきたいと思います。
 
 

abbvie社の最新治験データのまとめ

繰り返しになりますが、今回の発表の要点だけ纏めておきます。

  • 全体の治癒率は12週間治療で91.8%、24週間治療で95.9%である
  • 日本人の7割のジェノタイプ1bの治癒率は12週間治療で 98.5%、24週間治療で100%である。
  • 大きな副作用は、ビリルビンの上昇で、その他はリバビリンの副作用である。

 ゴールデンウィークに主治医の診察があり、ちょっと話をしていただきましたが、ほぼ第二世代の直接作用型抗ウイルス剤(Direct-acting Antiviral Agent:DAA)の経口剤治療でC型肝炎のジェノタイプ1b型に関しては治る時代が来る。ジェノタイプ2型については、もう少し時間かかるかもしれない。また、経口薬を飲んで治った後の肝がんの発生率については、まだデータがないので分らない。これから10年ぐらいかけて明らかになると思うとの事でした。

待ち遠しいですな。
それまで肝臓をいたわって、鉄分抜いてハアハア云いながら筋トレしていきますかね。
 
 
ひとまず。

母の日は、ケーキ屋さんが激混みになって作り置きが多くなるので、1日ずらしてケーキ屋さんへ。
甘いものって美味いんだわな。

20140513221857

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Comment

  1. わくちゃん より:

    ご無沙汰しております。
    これを読んで、恥ずかしながら今ごろ気づいたんですが、SVRの定義も変わってきてるんですね。SVR4とかSVR12, SVR24ですか。僕が二回目の治療をした頃は24だけだったような。
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/23470616/

    期待できる結果ですね、これは。

    • ばんばん より:

      Wちゃんご無沙汰です。
      そうですね。この頃の海外の治験のデータを見ているとSVR4がひとつの判断ポイントだったりします。
      特に経口剤オンリーだと直接的にウイルスの増殖を抑えているため、効果が薄い場合薬を飲まなくなった時点ですぐにウイルスが増殖して再燃になります。

      この間主治医に聞いたろころ、日本の新しいC型肝炎の治験もSVR12で厚労省へ報告して申請に入るようです。SVR12と24で結果の数字が1%も変わらなとか・・・
      すごい時代になってきましたよ

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